2011年07月01日

6月 大自然のオアシス大笹牧場

その広さ、東京ドーム77個分。
標高1,030mの放牧育成牧場。

2011年6月某日

 ジリジリと照りつける初夏の陽射しに、ひとときの涼を求めて向かった場所は、鬱蒼とした杉木立や美しい棚田など、趣きあふれる日本の鄙の山道を車で行くこと約40分の場所にあった。突然開けた視界に飛び込んできたのは見渡す限り続く広大な牧草地だ。その名は「大笹牧場」。日光国立公園の標高1,030m〜1,320m、霧降高原道路のちょうど交差点に位置するこの牧場は、関東平野を一望できる絶景と広大な敷地で知られる放牧育成牧場で、その広さはなんと東京ドーム77個分(約362ha)。ホテルで仕入れた情報では全国でも屈指の規模とのことだ。辿りつく頃には天気は少々霧模様になっていたが、それが逆にソフトフォーカスにような雰囲気をたたえている。6月下旬から咲き始めるニッコウキスゲも私たちを出迎えてくれた。広い駐車場にはすでに何台かの大型観光バスが停車し、私たちと同じ行楽目的で訪れたファミリー客などで賑わいを見せている。
 レストハウス前にある記念碑によればこの牧場の歴史は明治35年、官有林の払い下げを受け浅田徳則氏が自家用牧場にしたのが始まりのようだ。その後、一時、戦争で経営が中断されたものの、昭和32年、育成牧場の普及に尽力していた栃木県酪農業協同組合の所有となり、国有林の貸与や借地の申請を経て、現在の敷地となったようだ。記念碑の脇には数多の苦難を経て牧場の設立に東奔西走した当時の組合長の渡辺喜平氏の銅像があった。見渡す視線の先には牧歌的な風景が広がり、先程までの汗はどこへやら、いつのまにか高原の風が私たちを包んでいた。

4.こやぎの丘 イメージ.JPG
32.大笹牧場 碑.JPG24.レストハウス全景.JPG16.ニッコウキスゲ.jpg


牛が草を食む牧歌的風景に
しばしのんびりと包まれながら。


 まずはレストハウスから歩いて5分、馬や羊がのんびりと草を食む「こやぎの丘」エリアへ。広々とした牧草地にはジャンボすべり台やアスレチック、隣接してレジャーゲレンデもあり、子供たちを遊ばせながら一日中大人もゆっくりできる趣向だ。「どうぶつのエサ」の自動販売機も設置され、1つ100円で購入できるとあって家族連れに人気のようだ。ちなみに「どうぶつのエサ」は四角いモナカの中に固形の飼料が入っており、購入したとたん放牧されている山羊や羊が我先にと柵に乗り上げエサを催促してくる。動物たちは人に慣れており、メエ〜ッと鳴きながら手からエサを食べる仕草は見ていて飽きない。ちなみにこの牧場で放牧している羊は頭と足先が黒いサフォーク種で、その姿から別名“パンダ羊”とも呼ばれる。なかなか憎めない顔立ちだが、実は食用マトン種のひとつで、国内の飼育羊の約80%を占めている種類なのだそうだ。個人的にジンギスカンが好きなだけに、人なつっこいその姿に少々複雑な気持ちにもなる。ともあれ、丘の東屋に腰を下ろし、エサやりにはしゃぐ子供達の声を遠くに聞きながら、ぼんやりとその姿を目で追った。こんなにゆっくりとした時間を過ごすのは久しぶりだ。見上げれば大空と呼ぶにふさわしい景色がそこにあった。

7.こやぎの丘 小馬と羊.JPG3.アスレチックとすべり台.JPG
26.エサ販売機.jpg
11.こやぎの丘 白ヤギさん.jpg
5.こやぎの丘 サフォーク種.JPG
17.ファミリー.jpg1.アスレチック イメージ.JPG


大笹名物、厚切りジンギスカンは、
食べごたえ充分の満足メニュー。


 昼食をとるため、いったんレストハウスへ戻ることにした。途中、牧草地の遠くになにやら人影のような集団が連隊を組んで歩いている。目を凝らすとなんと、野生の猿のようだ!私の連れも大興奮。大自然ならではの愉快なハプニングに思わずシャッターを切る。
 レストハウス内にあるレストランの名物は厚切りした生ラム肉に、焼き野菜・ライス・スープ・牛乳・漬物が付くジンギスカンセット(1,300円)。特製のオリジナルタレも上品な味わいで臭みはまったく感じない。車でなければビール!といきたいところをグッと我慢、我慢。ちなみに連れの話では羊肉はビタミンB2や鉄分が豊富に含まれ、ミネラルバランスにも優れた健康食品らしい。融点が44度と他の食品より高いため、食べても体内に吸収されにくいことからダイエットの面でも女性に人気なのだそうだ。魚肉並の低コレステロール食材でもありコレステロールを減らす飽和脂肪酸が他の肉よりも多く含まれるとあって、健康を気遣う人にも満足度の高い肉料理だ。

27.猿の移動.jpg14.ジンギスカンハウス テラス.JPG
12.ジンギスカン 焼く.jpg
20.レストハウス ベーカリーとジンギスカンハウス.JPG21.レストハウス 塔.JPG


散歩がてらの敷地散策。
見渡す限りの緑の大海原を一望。


 美味くて体に良いランチをたっぷり味わった後は、腹ごなしの散歩がてら眺めの素晴らしい「展望台」まで歩いてみることにした。ゆるい登り坂の両脇には牛が放牧され、のどかな風景が広がる。牛は人が近づいても逃げる気配どころか好奇心旺盛に近づいてくる。逆に尻込みする若いカップルに思わず苦笑しながら先を進む。歩けど歩けど続く牧草地の広さに圧倒されることしばしば。 
 周囲の景色に溶け込む木製の展望台に登れば、その眺めはまさに“雄大”のひとこと。眼下にはときおり訪れる高原の風に応えるようにサワサワと牧草が揺れ、緑の大海原が広がっていた。展望台付近には牛舎もあり、乳しぼり(1人100円)やバター作り(1人350円)ができる体験工房もあった。今はまだ穏やかな静けさが辺りを包み込んでいる。団体や家族連れが集うベストシーズンはまさにこれからだろう。

40.放牧場.JPG39.放牧場 カップルイメージ.JPG
34.展望台.JPG
35.展望台から全景.JPG36.乳搾り体験.JPG


希少なブラウンスイス牛の
ミルクでつくられる絶品ソフトクリーム。


 再びレストハウスに戻って土産物の品定め。建物内にはここでつくられるチーズや菓子、カルパスなどのオリジナル土産がところ狭しと並んでいる。ここで扱う商品の特徴は何と言っても現在、日本に1,200頭ほどしかいないと言う希少なブラウンスイス牛のミルクから造られる乳製品だ。スイス原産のこの牛は、白黒の模様でお馴染みのホルスタインと比較し乳量はやや少ないものの、乳たんぱく質量はホルスタインと遜色なく、チーズを作ったときの歩留まりが高いため、チーズ作りに適しているのだと言う。その味わいを早速試すべく、不動の人気を誇る「ブラウンスイスミルクソフトクリーム」(300円)をオーダーしてみた。食べた瞬間、ふわりとミルクの風味が口いっぱいに広がる。これは美味。ブラウンスイス牛は乳脂肪4%、無脂固形分9%という高い乳成分からなる濃厚なコク、そしてそのコクの中にあるほんのりとした甘味が特徴で、大笹牧場ではこれを最大限に生かした乳製品作りを行っている。一方、もうひとつの売れ筋商品、牛串(300円)はオーダーしてから焼き上げるため出来たての熱々がいただける。ちょっと強めの塩コショウとボリュームのあるしっかりした肉質が印象に残った。この他にも外売店ではコロッケをはじめ、焼きたての「ピザドッグ」や手作り生キャラメルが入った「生キャラメルラテ」などのちょっと変わったメニューもある。

22.レストハウス前広場.JPG25.レストハウス売店.JPG
15.ソフトクリーム.jpg
30.牛串 食べる.JPG23.レストハウス前売店.JPG


 ホテルから大笹牧場へのおすすめドライブコースは2通りある。ひとつは今回、我々がたどった日光側から杉並木や田園風景、山道を登るコース、もうひとつは川治温泉でしばし小休止してから、山道を登るコースだ。いずれも捨てがたいが、出発地や途中、寄り道したいスポットなど、目的に合わせて選ぶと良いだろう。



【大自然のオアシス大笹牧場】詳細




大笹牧場 地図 画像.jpg

33.大笹牧場map.jpg

◎大笹牧場

標高1,030〜1,320m。日光国立公園内の高原に位置し、関東平野を見渡すロケーションと、豊かな自然が息づく放牧育成牧場。標高の高さから夏でも涼しく、都市近郊から手軽に来られるドライブコースとして親しまれている。牧場内には動物と一緒に遊べるふれあい広場や、家族で楽しめるアスレチックなどのあるわんぱく広場、また温泉露天風呂のあるオートキャンプ場をはじめ乳しぼりやバター作りなどの体験も楽しめ、一日中遊べる憩いの牧場として親しまれている。四季折々に姿を変える景色の美しさも定評(カタクリの花、ヤシオツツジ、レンゲツツジ、ニッコウキスゲ、紅葉など)で、日光の観光名所のひとつ。

住所/栃木県日光市瀬尾大笹原3405
TEL/0228-97-1116(大笹牧場レストハウス)
定休日/年中無休
駐車場/大型駐車場有
http://www.tochiraku.or.jp/oozasa/

42.牧場全景 こやぎの丘より.JPG41.放牧場から山景色.JPG38.放牧場 イメージ2.jpg


・レストハウス
施設はジンギスカンなどの食事が楽しめるレストランコーナー(ベーカリー併設)と乳製品などの大笹牧場オリジナル商品を揃えた土産コーナー、また人気のソフトクリームが楽しめる屋外の売店コーナーに分かれている。現在、日本に1,200頭と希少なスイス原産のブラウンスイス牛からしぼった牛乳は大笹牧場でしか飲めない味わい。
レストランは名物の生ラムの厚切りジンギスカンをはじめ牛丼やカレー、麺類などの幅広いメニューを用意した1Fのジンギスカンハウスと地元ブランド牛、とちぎ牛などを扱う2Fの本格ステーキレストラン「まきば」がある。

24.レストハウス全景.JPG25.レストハウス売店.JPG20.レストハウス ベーカリーとジンギスカンハウス.JPG14.ジンギスカンハウス テラス.JPG
13.ジンギスカン1300円.jpg15.ソフトクリーム.jpg29.牛串 焼く.jpg


・こやぎの丘
ヤギや羊、馬の放牧場で自由にエサやりが楽しめる。世界一ちいさな馬、アメリカンミニチュアホースなど珍しい動物も見ることができる。アスレチックやジャンボすべり台があるわんぱく広場やレジャーゲレンデ(ソリ貸/30分500円)と隣接。

6.こやぎの丘 仔馬.JPG8.こやぎの丘 仔馬ねころぶ.jpg2.アスレチック タイヤ.JPG9.こやぎの丘 全景.JPG19.レジャーゲレンデ.JPG10.こやぎの丘 白ヤギさん.jpg


・展望台
体験施設の脇にある展望台からはレストハウスをはじめ、大笹牧場の主な施設が一望できる。

34.展望台.JPG35.展望台から全景.JPG


・体験施設
見晴らしの良い丘の上にある体験施設エリアではブラウンスイス牛の乳しぼり(お一人様100円)やバター作り(お一人様350円)などの体験が気軽に楽しめる。
※4月下旬〜11月3日までの土日、祝日および夏休みの1日1回開催。時間などの詳細については問い合わせ要。
※団体のお客様は土日、祝日以外の体験も可。詳細について問い合わせ要。

36.乳搾り体験.JPG


◎ニッコウキスゲ
6月下旬〜7月にかけて咲くユリ科の多年草。高原に咲くラッパ状の黄色い花で日光地方に多いことからこう呼ばれている。朝方に開花すると夕方にはしぼんでしまう。

16.ニッコウキスゲ.jpg


posted by kinugawaaruku at 09:00 | 日記 | 更新情報をチェックする
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